ユーノス・ロードスター　

From：関谷はやと

三栄自動車の事務所にて。

１９８０年代の終わり、

日本経済は『バブル期』と呼ばれ、
かつてない好景気を博していました。

ちょどその頃、
広島県内の工場敷地の一角で、その車は誕生しました。

その名も『ユーノス・ロードスター』という、
小型２人乗りのオープンスポーツカーです。

この車を開発したのは、
広島県に本社を置く自動車メーカーの

『マツダ』なんですが、

その頃のマツダは、好景気にまかせて、

次々と異なる名前のブランドを増やしていて、

当時その行方を見ていた僕は、

『おいおい、こんなに増やして大丈夫かい？』

と、本当に危なっかしい経営をする会社だなあ・・
そう思っていました。

ちなみに当時のマツダが増やしたブランドは、

本家のマツダ以外に、

『ユーノス』、『アンフィニ』、『オートザム』

という具合に、どっちかと言えば、
行き当たりばったりなブランド戦略を取っていました・・

それはさておき、、

この『ユーノス・ロードスター』が発売された当時、

ようやく日本にも、
ライトウェイト（小型軽量）・スポーツカーが生まれる土壌ができた。

と素直に評価する人々もいれば、

ヨーロッパ車の『パクリ』だと酷評する人々もいました・・

たしかに発売当初から、

そのスタイルが、

英国車の『ロータス・エラン』という車に、
あまりにもソックリだったんで、

『パクリ』と言われてもしょうがありません・・

しかし、
日本のものづくりの技術はすごいです・・

パクリと言われる元となった、ロータス・エランの、
およそ３分の１程の価格で販売されていたこともあって、

このあと売れに売れて、
とうとうロータス・エランをしのぐ人気になりました。

でも『出る杭は打たれる』んですね。

当時僕たちが読んでいた自動車雑誌では、
欧州車ファンの記者、自動車評論家から酷評され、

その影響を受けた読者の間からも、
『ロータス・エランの偽物』などと言われてました。

日本のマーケットになかった車を作りだした、

『チャレンジ精神』は、
あまり評価されなかったんですね・・

しかし、
マツダという企業は偉かったです・・

その後のバブル崩壊のあおりを受けても、

『ユーノス・ロードスター』を造り続け、

初代のモデルは、約１０年間で、
なんと累計４３万台も生産されました。

その後、

『ユーノス』というブランドが無くなったことから、

名前も『マツダ・ロードスター』となりました。

そして現在までで４代目のモデルとなり、

１９８９年に、

最初のロードスターが発売されてから２７年目の今年、

ついに生産累計１００万台を達成しました！

それだけじゃなく、

もっと嬉しいことは、

イタリアに本社を置く巨大自動車グループ、

『フィアット』が販売していた、
ライトウェイト・スポーツカーの名車と呼ばれる、

『フィアット１２８』のベース車両として、

マツダ・ロードスターが採用されることになったんです。

ついに本場ヨーロッパに認められたんですね〜

これで『マツダ・ロードスター』を酷評した、

欧州車ファンの記者、自動車評論家も、

マツダ車の実力を認めざるを得ません・・

恐らく、マツダの人たちも、

こんな評価を受けて悔しい思いをしながらも、

この人たちの評価を真摯に受け止め、
実直に良い車造りを目指してやってきたから、

それが実を結んだんじゃないかと・・

２７年もの長い間、よくぞ造り続けたと思います。

『マツダ・ロードスター』の成功は、
目先の実績や他人の評価にとらわれるだけじゃなく、

長い展望を持ってビジネスをやっていくための、

良い意味での『しぶとさ』

みたいなものを教えてくれた気がします。

関谷はやと

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