吾輩は雀である・・ 

From:関谷はやと

三栄自動車の事務所にて。

この1ヶ月ほどの間、

僕が住んでいる松山地方では、

まとまった雨がほとんど降っていません。

まあ、晴れなら晴れで視界もいいので、

安心して車の運転ができますが、

ただ、そうなると、

自宅の庭に植えている、

草花のことが気になる所です。

なので、この1ヶ月ほどは、

ほぼ毎晩水やりをしています。

で、その時ついでに・・

といったら金魚に失礼なんですけど、

近くに置いてある金魚鉢にもほぼ毎日、

片手サイズのバケツに汲み置いた水を、

バシャーッと金魚鉢に移しています。

何でこんなことをやってるのかというと、、

魚を飼ったことがある人なら、

知っていると思いますが、

水道の水って、

人間がそのまま飲んでもお腹をこわさない程の、

きれいな水になっています。

まあ・・美味しいか、

そうじゃないかは置いておくとして、

とにかく様々な行程を経て、

カルキー消毒とか浄化・調整をやっています。

ですので、

水道の蛇口から、

そのまま金魚鉢に水を汲んでしまうと、

あの小さな魚体ではカルキーが強すぎて、

金魚にとっては、

『身体に危険をおよぼす水』となるんですね・・

そのため、

一旦バケツに汲み置きして、

空気に触れさせたり、陽に当てたりして、

『カルキー飛ばし』をするんです。

ちなみに金魚鉢には、

もうかれこれ15年以上は生きている、

夜店の屋台ですくった『金魚』がいます。

今はもう1匹だけになりましたが、

体長が15センチほどに成長しましたので、

もはや金魚とは呼べるレベルじゃなく、

『鉢の住人』とか『主(ぬし)』のレベルですね。

ところで、

つい2日前のことです。

その夜ばかりは、いつもやっている、

水やりと金魚鉢への水汲み作業を、

何となく、する気がせず、

翌朝やることにしたんです・・

で、その翌朝、

水汲みをしようとバケツの中を見ると、

何やら枯葉のようなものが浮いていました。

朝起きて間もなかったんで、

半分ボーっとしながらよく見ると・・

と、話を続ける前にあなたにひと言・・

この先は、

驚きと悲しい話になりますので、

少し覚悟して聞いて下さい。

バケツの中に浮いていたのは、

枯葉じゃなく『スズメ』だったんです・・

ビックリして一瞬で目が覚めましたよ。

残念ながら、
僕が見つけた時には、

もう息がありませんでした・・

その時、

ちょうど1年前に、

僕の弟がやっているボディーショップの、
(車の外装を修理したり塗装したりするお店)

軒先の巣から落下した、

スズメのヒナを保護した事を思い出しました・・

スズメって、鳥の中でも、

ふっくらとしてて愛嬌があるし、

人間に最も身近な鳥です。

そんなこともあってショックでしたが、

気を取り直して、

庭木の根元に埋葬してやりました。

そして、ゆうべのこと、

その日はいつも通り、

夜の作業として、草花への水やりと、

金魚鉢への水汲みをやろうと、

暗がりの中、
バケツを手にしようとしたんですが、

朝の出来事があったんで、

何となく手が止まって、

意識してバケツの中を覗いた瞬間・・

『・・・』

またスズメの姿が!

残念ながら、このスズメも

やはり息を引き取っていました・・

再びビックリしましたが、

ただ2日立て続けて、となると、

埋葬も淡々とこなしてしまえるんです・・

スコップで穴を掘りながら、

夏目漱石の名作、

『吾輩は猫である』の冒頭にある、

主人公のネコ主観で『名前はまだない・・』

という一説を思い出しました。

このストーリーでは、たしか、

猫が誤って、水を張ったお風呂場に落ちてしまい、

そのまま意識を失っていく、

というのが主人公(猫)の最後でした。

それでも主人公のネコは、

一冊の本になるくらい、

その家との関わりがありましたが、

僕の所に来たスズメの場合は、

僕が見つけた時には、

すでに息を引き取っていたんで、

『吾輩は雀である、名前はもうない・・』

というくだりになります・・

かといって、金魚のためには、

水を汲み置きしない訳にもいかず・・

そこで今度は、

万が一バケツに落ちても、

スズメ自ら脱出できるように、

並々と水を張っておくことにしました。

そんなこともあったんで、

『スズメ 入水 水飲み』というキーワードで、

さっそく調べてみると、

スズメって、

水を飲む、というより、

毛づくろいの一環で、

水浴びをする習性があるんですね。

これで取りあえず、

もしスズメがバケツの中に入ってきても、

うまく抜け出せるはずです。

さて今夜、

バケツの中はどうなっているでしょうか・・

いないことを祈ります。

関谷はやと

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