焙炉(ほいろ) 

From:関谷はやと

三栄自動車の事務所にて。

今日のお昼ご飯に、、と、

ふと思いついたのが、

『タコ焼き』です・・

しかも『空飛ぶタコ焼き』

というキャッチフレーズのお店・・

このお店は、もともと、
三栄自動車に自動車部品を納めている業者さん(サプライヤー)

の取締役を務めていた人が、

『タコ焼き屋を始めたいんで今期をもって退任します』

と宣言して、

本当にタコ焼き屋さんになった、
という何とも面白いエピソードを持つお店です。

ところで、
なんで『空飛ぶタコ焼き屋さん』なのか・・??

これは、この方の趣味で、

『パラグライダー』をやっていたことから、

ただの『タコ焼き屋さん』じゃなく、

『空飛ぶ・・』と付けたそうです。

まあ、、こんな本当に、

パラグライダーのように空を飛ぶ生き方もアリかな・・

と思うこの頃です・(笑)

ちなみに僕は、パラグライダーはやってません。

以前ここの店主さんに、

「はやとさんも、一つどうですか!?」

と誘われましたが、、

あの・・

地面に足がついていない感覚って、

遊園地にある自然落下するアトラクション、

『フリーコースター』みたいじゃないですか。

身体が浮いている感覚と、
重力で地面に引き寄せられる感覚とのアンバランス、

あの『フワッとした感覚』はどうも苦手です・・

なので、僕は絶対にやりませんよ!

中には、
あの感覚がたまらない、、という人もいますが・・

このお店の店主さんも、
その魅力に取りつかれた人みたいです。

その証拠に、

このお店も、いろんな飲食店と同様に、
『スタンプカード』を発行しるんですが、

景品がユニークなんです・・

ちなみにその内容は、

タコ焼きを1パック(小玉10個入り300円)
(大玉6個入り300円)を買うと、

スタンプカードに1つスタンプが付きます。

そして、
スタンプ10個でカードがいっぱいになると、

大玉6個入りが1パックサービスになります。

まあ、ここまでは別に何でもない、
ごく普通の『スタンプカード』です・・

が、しかし!!

このお店は、
スタンプカードを8枚集めると、なんと!!

『パラグライダー体験』をさせてくれるそうです・・

本当に空を飛べるんです!(笑)

でも僕みたいな人間は、
一体どうすればいいんでしょうか・・!?

スタンプカードが貯まるたびに、

ちょっとユウウツになって来そうです・・

そう思っていましたが、

よく見ると、
スタンプカードの端っこに小さな字で、

『希望者のみ』と書いてありました・・

これで安心してタコ焼きが食べられます(笑)

ところで、

こういった『焼き物』のお店にはたいてい、

『保温器』みたいなのが置いてありますよね。

加熱調理した食べ物なんで、

せっかくなら温かい方がおいしいですよ、

というお店の配慮です・・

この保温のやり方にもいろいろあります、

例えば、

食べ物を保管する箱の中に、
電球(赤外線ランプ)があって、
その電球の熱で保温するものや、

クーラーボックスの断熱材を逆利用して、
保温ボックスとして使う方法などです。

また、お店によったら、

家庭用の大型冷蔵庫のコンセントを抜いて、

保温ボックス代わりにしているお店もあります・・

ちなみにこのお店は、
クーラーボックスを使っていました。

今回は、電話で予約しておいて、

ちょうど焼き上がる頃にお店に行ったんで、

待たずに『焼きたて』が食べられました。

そして、

ちょうど、その帰り道、

車の中でかかっていたラジオから、

日本に昔からある保温装置、
『焙炉(ほいろ)』の話題をやっていました。

『焙炉』ってなに?

僕は今日初めて聞きました・・

もちろん実物を見たこともありません。

昔はお蕎麦屋さんに行くと、

『海苔』を温めるための装置として、

『焙炉(ほいろ)』という木箱が置いてあったそうです・・

その箱の底には『炭』を入れた容器が置いてあって、

その上に海苔を置く仕切りが付いています。

時代劇の小道具にも登場するらしいんですが、

『海苔を炭火で軽く焙って食べる』

なんて粋な感じがしませんか?

でも今のお蕎麦屋さんで、

『焙炉』が置いてある店なんて、
たぶん高級蕎麦屋さんだけでしょうね・・

しかし、

当時の『お蕎麦屋さん』というのは、

今でいう、
『居酒屋さん』みたいなスタイルのお店だったらしく、

ちょっと一杯、、

みたいな感覚で気軽に蕎麦屋に入ると、

そこに置いてある『焙炉』で焙った海苔が、
『お酒のアテ』になってたんだそうです。

ところで、

炭(遠火=遠赤外線)で焙る、ということは、

電子レンジやガスに比べて時間がかかります・・

『海苔』を焙って食べるためだけに、
ゆっくりとした時間を費やす・・

今の時代に同じことやろうとすると、

これはとても贅沢な海苔の食べ方、というより、

『贅沢な時間の使い方』になると思いませんか。

でも僕は、

このペースこそが僕たち人間が持っている、
本来のペースのような気がします。

その証拠に、

この『焙炉(ほいろ)』で海苔を焙る時間は、
5分ほどかかるそうですが、

この待ち時間って、
昔の人にとっても『待ち遠しい時間』だったはずです・・

しかし、
電子レンジで同じ時間5分の『あたため』だと、

何とももどかしい感じがしませんか?

前にこのメルマガで話した話題じゃないですが、

もし今のコンビニで、
5分も『あたため』をやってたら、

間違いなくお客さんに怒られるレベルです(笑)

これって昔の人々の暮らしと比べて、

僕たちがせっかちになったんでしょうか?

それとも、長い年月の間に
ペースが乱れて来たんでしょうか?

より便利に暮らしやすく、という目的で、

いろんなことが短時間で済むようになったんですが、

その代償として、

僕たちにとって必要な、
『ゆったりとした時間』というのを、

失くしてしまったような気がします。

そして今は、

この時間を取り戻すために、

『膨大な手間と費用』が必要になったのは、
なんとも皮肉な感じがします・・

関谷はやと

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