ニューヨークを変えた『壊れ窓理論』　

From：関谷はやと

コロナ禍以前の写真と思われますが、
この写真は、アメリカ・ニューヨークにある
大規模公園セントラルパークからマンハッタンを
眺めた風景で、たくさんの人々が芝生の上で
くつろいでいる姿が見えます・・

ところが、
今から４０年ほど前、僕が中学生だった頃には、
こんな穏やかな風景など想像できないくらい、
当時のニューヨークは『世界で最も危険な街』
として有名だったんですよ（驚）

ちなみに、
どのくらい危険だったかというと・・
オンラインゲームで設定されがちな、
廃墟化した都市でギャング同士が
バトルを繰り広げながら勢力を広げていく・・
みたいなシーンがありますが、

まさにそんな状態で、
当時、社会科の宿題に出された
『アメリカについて調べてきなさい』のため、
新聞や雑誌で調べていて衝撃を受けたのが、

ニューヨークの特徴について、
『〇〇分に１回、殺人をはじめとする
凶悪犯罪が起こっている・・』
と紹介されていたので、よく覚えています。

また当時の映画でも、
２０世紀末のニューヨークは
荒廃し切った街で治安も最悪になっている、
みたいな設定で描かれた作品が多く登場し、

実際に、
このままでは映画の場面と同じように、
手の付けられない状態になるだろう、
なんて言われてた時代です。

しかし、、
そんなニューヨークが芸術や文化
ショービジネスや流行発信の街として
再び世界中から注目を集めるまでに
変身を遂げたのは、意外にも、
『凶悪な犯罪を取り締まるよりも、
まず軽微な犯罪を見逃さない』という、

ある犯罪心理学者が提唱した、
『壊れ窓理論』を徹底的に実践したからです。

この『壊れ窓理論』というのは、例えば、
建物の窓ガラスが割れたまま放置していると、
その街に『無関心』という概念が定着して、
やがて他の窓ガラスが割れていても、
誰も知らん顔で見過ごされるようになり、

さらにそれが秩序の乱れへとつながり、
誰が何をやっても、どうせ気づかれない・・
結果として、街全体の治安が悪化していく、
という一連のつながりを系統立てた理論です。

そして、
１９９３年にニューヨーク市長となった
検事あがりのジュリアーニ市長が
『壊れ窓理論』を元にまず実践したのは、

ニューヨークの地下鉄に書かれている
『落書き』を次々と消していく事でした。

次に取り組んだのが、
ひったくりや地下鉄の無賃乗車の取り締まり、
よく映画のワンシーンにも出てくる、
信号無視や交差点に停まった車の
窓ガラスを勝手に拭いてチップを強要する、
といった行為の取り締まりでした。

まあ、日本だったら
『軽微な犯罪』とはなりませんが・・
なにせそこは『世界で最も危険な街』
ニューヨークですからね。

ただ、その間も凶悪な犯罪は、
依然として発生し続けていたので、
当初はジュリアーニ市長に対して、
相当な批判が集まったそうです・・

それでも自身の信念を曲げず、地道に
『ニューヨークの壊れ窓』を直し続けた結果、

人々の無関心が減り、秩序が戻ると、
不届きな振る舞いをする人たちが減り、
その結果、冒頭の写真のような
ニューヨークへと変身を遂げたんですね。

この成功によって、
壊れ窓理論は一躍有名になり、
組織秩序という分野だけでなく、
企業経営や品質、信頼構築の領域でも
応用されるようになったんですね〜

さしずめ日本でいうところの、
『ちゃんとお天道様が見ているぞ！』
みたいな教えでしょうか（笑）

世界から見て、
日本の治安が良いといわれるのは、
古くから、こうした教えがあるから
かも知れませんね〜

関谷はやと

 
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