職人レベルの技術をデジタル化する　

From：関谷はやと

車業界向けの日刊紙に、
トヨタ自動車が進めている生産・開発技術の
『デジタル化』についての記事がありました。

具体的には、
これまで人の手でやっていたことを
数値化することでロボットや機械でも
人間がやったのと同様の結果が得られる・・
というもので、

逆の言い方をすると、
職人レベルの技術を持った人間の動きを
ロボットや機械に代わってやってもらうために
『デジタル化』を進めている、となります。

その理由は、
特に職人レベルと言われるほどの技術って、
取得するまでに、それこそ何年も・・というより
内容によっては一生かかることもあります。

たしかに『かけがえのない』とか
『尊さ』といった観念的な見方をすれば、
熟練の技術を次の世代に継承するのは
当然必要なことだと思います。

ただ人間って生身の生き物なので、
ケガや事故に遭うケースも考えられますし、
長い人生の間で何が起こるか分かりませんよね。

つまり、これまでは、
そういった不確定要素を抱えながら、
技術の継承を行ってきたのが現実です。

ところが日本だけを見ても、
この数十年の間で年齢構成比率が大きく変わり、
若年者の労働人口が減少し続けている中
一生かけて技術の継承を・・なんて悠長なことが、
あのトヨタでさえも言えなくなってきました。

そういう点では、
僕がトヨタにいた３０年以上前から、
すでにその兆しがあり、
例えば車のボディー表面の凹凸を手触りで
『あっ、ここが歪んでるね』と分かるだけじゃダメで、
上司からも『それは何ミクロンの精度だ？』
なんて常に計測させられていましたよ。

といっても当時は、デジタル機器を使って
単に数値化しているだけでしたが・・

ところが現在では、
デジタル機器の種類や数が豊富になり
価格も下がり扱いやすくなったおかげで、
最初からロボットや機械が作業することができ、
しかも職人並みの精度を出せるまでに
数値そのものの応用度も進んだといえます。

となると今後は、
職人レベルの技術精度を
人間の手の数倍のスピードでこなすことができる、
みたいな時代になるでしょうね〜

関谷はやと

 
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