『アマゾンCM』に秘められた戦略 

From:関谷はやと

僕が最近見たテレビCMの中で、
『あっ、いいな・・』と
強く印象に残っているのが、
アマゾンのCMです。

『作り手の数だけ驚きがある、
産地が変われば新しい味に出会える。

様々な季節の表情が、
違った魅力を引き出してくれる。

私達が取り揃えているのは、
そんな日本の豊かさです。
Amazonで会いましょう・・』

というナレーションとともに最後は、
『アマゾン 日本ストア』のテロップ・・

しかも
映し出されている場所は都会じゃなく、

明らかに地方、それもどっちかというと
『田舎』の部類に入る風景の中で、
カニを獲ったり、鋳物(いもの)や
焼き物を作っている映像です。

ちにみに、このCM
けっこうな頻度で流れてるので、
もしかしたら、あなたも
目にしたことがあるんじゃないかと・・

カニの収穫にしても、
鋳物や焼も物を作っている風景にしても、

これといって特別な現場ではなく、
産地へ行けば、どこででも目にする
ごく当たり前な日常の風景なはず、
なんですけど・・

そこに選び抜かれた言葉で、
シンプルに仕上げられたナレーションが入ると、
これが不思議なことに、言葉通り
『日本の豊かさ』みたいなイメージを
持ってしまうんですよね〜

ところが、あなたも知ってる通り、
アマゾンという会社は、
CMのイメージとは全く正反対で
自社で生産工場も持たなければ、
小売店舗すら持っていません。

にもかかわらず、
最先端のコンピューター技術を使って、
規模においては
世界の流通業のトップに名を連ねるような
ビジネスをやってるんですよね。

なので、
それなりの規模を誇っている
日本の流通業経営者が、あのCMを見れば、
脅威に感じなくちゃいけないと思います。

というのも、

あのCMには、
アマゾンの利用者を増やす目的も
当然あるんでしょうけど、

それよりも、
売る商品を作ったり、獲ったりはできるけど、
その売り先を見つけるのに困っている
『生産者』がターゲットなんじゃないか?
と思うからです。

考えてもみれば、流通業って
生産者と購入者との間を取り持つことで、
初めて利益が得られるビジネスです。

ところが、
もしそこでアマゾンのCMに
影響を受けた生産者の人たちが、

『もうアマゾンにしか商品を渡さない』

となってしまったら・・?

僕には、
『売れる』という切り口だけじゃない、

生産者の人たちのプライドや
『作ったり収穫できることの喜び』や
『購入者に喜んでもらいたい』という

潜在的な欲求を言葉や映像で
表現しているように伝わるからです。

関谷はやと

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