初めて乗った車の話
From:関谷はやと
三栄自動車の事務所にて。
今日は、僕が初めて乗った車の話をします。
思い返してみたら、それって、
もうかれこれ30年も前のことなんですね・・
自分事ながらビックリです。
このメルマガでもお話ししましたが、
30年前といえば、
僕は愛知県にある自動車製造メーカーに勤めていました。
『自動車メーカー』なら、
自分の好きな車に乗り放題やろ!?
多分そう思うかも知れませんが、
実は、自動車メーカーだからこそ、
『車に関わることでの安全』というものに、
非常に神経質になっているんです。
ちなみに僕がいた会社では、
入社してから半年間は、
車に乗っちゃダメだったんです。
(自己所有してはいけない、という意味です)
というのも、
新入社員に限ったことじゃないんですけど、
もし交通事故を起こしたりすると、
一般の企業でも、
『どんな指導しとるんや!』となります。
これが自動車メーカーなら、
その影響の大きさは分かりますよね。
いずれにしても、
決して良いイメージにはなりませんからね・・
そりゃあそうですよね・・
今の仕事のように、
車のメンテナンスをやってたら、
車の乗ること自体が仕事ですので、
車に乗る、という行為に対しても、
もう少し自由があります。
しかし『メーカー』というのは、
企業イメージを、
一般の企業よりも重要視しますし、
またそうじゃないと、
周囲に向けて示しがつかない部分もあります。
そんな理由で、自動車メーカーに入社しても、
すぐに車に乗れる訳じゃなかったんですね・・
でも、
本当にそのメーカーの車が好きで、
それが入社理由のような社員にとっては、
これって、
『おあずけ状態』以外の何ものでもありません。
しかし実際には、そのくらい厳しい、
『戒律』のような規則があったんです。
入社から半年が過ぎて、
そんな『お預け状態』から解放されると、
いよいよ本格的な『車選び』が始まるんですが、
そうはいっても車って、
入社してわずか半年ほどの人間が、
すぐ買えるようなシロモノでもありません。
当然、新車などに手が届くはずもなく、
中古車でしかも分割払い、
などと、
あれこれ検討するようになるんですが、
当時の僕の意識は、
『車の支払いのために仕事をするのか・・』
という考えの方が優先して、
どうしても踏ん切りがつきませんでした。
さらに、
『どうせ買うんならスポーツカーやろ!』
車を買うという行為に対しても、
そんな意識を持っていました。
まあ10代の若者が考えることですよ・・
今でも時々、
そんな感情が起きることがありますが、
ただ、いまだに実現していません!(笑)
そのような背景もあって、
地元でこの会社(三栄自動車)を営んでいた父親から、
『それならウチにある車を贈ってやる!』という、
ありがたい言葉を戴くことに・・
これはまさに『渡りに船』状態です。
ちょうどその頃、
僕の同僚の中でも、気の早い連中は、
『○○を買ったぞ!』とか、
『いついつ納車される』などといった話題で、
周囲が騒がしくなり始めていました。
しかし僕はというと、
実家から車を贈ってもらうことになってたので、
この話題とは少し距離を置くことになります。
そして、
いよいよ車が到着する日になりました。
あっ、その前に・・
車種は何かといいますと、
当時コンパクトカーの代名詞といわれた、
『トヨタ スターレット』です。
現在はこの名前の車はありませんので、
ちょっと説明しますと、
トランクのない『ハッチバック』と呼ばれるモデルで、
他のメーカーにも同じ形の車がありました。
ちなみに、
ホンダだと『シビック』や『シティ』
マツダは『ファミリア』
日産は『マーチ』
三菱は『ミラージュ』
輸入車ならワーゲンゴルフです。
当時は外車(がいしゃ)って言ってました・・
いやあ、懐かしい車名もありますね〜
話を戻します・・
ようやく僕のところに届いた、
『トヨタ スターレット』なんですが、
僕の目の前にいるスターレットは、
当時テレビCMでやっていたものとは、
ちょっとイメージが違ってたんですね・・
それもそのはず、
スターレットには違いないんですけど、
そこにいるのは、
超マニアックな商用モデル
『スターレット バン』だったんです。
『バン=貨物車』です、
車検証を見ても『乗用』とは書いてありません・・
必然的に貨物車のナンバーが割り当てられますので、
『4ナンバー』です、しかも『愛媛ナンバー』・・
愛知と愛媛って一字しか違いませんが、
これは相当目立ちました・・
おまけに今じゃ標準装備になっている、
『エアコン』も
『パワーステアリング』もありません・・
その上座席は、
『運転席』と『助手席』だけの2シーター。
後部座席はフラットな荷台です・・
たしかに
2シーターといえばスポーツカーを連想しますが、
いくら僕が、
スポーツカーに乗りたかったと言っても、
10代の若者に、しかも初めて乗る車です。
これってあまりにも・・だと思いませんか?
さすがの僕も唖然として・・
実家の父親に、早速電話しましたよ。
『車届いたよ、ありがとう。
でも後ろの椅子取り付けるの忘れとるよ!』
僕がそう言うと、
父親は即座に、
『後ろに人乗せよったら危ないやろ!』と・・
つまり、僕が調子に乗って、
後部座席に人を乗せて走り回るつもりなのだと、
そう読んでいたんですね〜
僕の魂胆はしっかりとバレてました・・
『調子に乗っても人を乗せちゃいかんと・・』
しかし、こんな場面でわざわざ、
『洞察力』を発揮しなくてもいいと思いませんか?(笑)
まあこのスターレット・バンとは、
2年近く一緒に過ごすことになるんですが、、
その後、
いろんなドラマが待ち受けていようとは・・
関谷はやと
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