煎餅とフェラーリ その2
From:関谷はやと
出張先の宿舎にて。
先日あなたにお話ししました、
『子規煎餅』の話題の続きです。
時代は戦前戦後にさかのぼり、
当時地元で売られていた、
『子規煎餅』なる型焼きのお菓子が、
突如、その姿を消したため、
『幻のお菓子』となりましたが、
それを探し求めていた、
熱心なファンのおかげで、
当時の様々な事情や背景が、
解き明かされるとともに、
『子規煎餅』にまつわる
具体的な証拠資料が、
再び表に出始めました。
そのうち、
最も重要な道具のひとつである、
正岡子規の有名な俳句が記された、
煎餅の『焼き型』を、
縁あって、
僕の父親が所有していたことで、
それが地元新聞の、
トップ面と3面に掲載された、
というのが、前回までの話でしたね・・
ところで、
僕が住んでいる松山という町は、
先程お話しした俳人『正岡子規』の、
出身地という土地柄もあって、
『俳句』に始まり、
いわゆる文学の街という雰囲気があります。
そのほか、
一説では『聖徳太子』が入湯された!?
ことでも有名な『道後温泉』もあります・・
実は、、
その道後温泉の程近くに、
現在でも『幻のお菓子』と呼ばれる、
『道後煎餅』
という名前の手焼き煎餅があるんです。
こちらは、
『玉泉堂本舗(ぎょくせんどうほんぽ)』
というお店が、
『子規煎餅』よりも、
もっと古くから作っていて、
創業したのは、
なんと『明治15年』だと、
パッケージに書かれています。
当時からほぼ変わらね製法で焼かれている、
この道後煎餅も、
子規煎餅と同じように、
薄い手焼きのお煎餅なんです。
実は僕も、
意識して口にした記憶がないんですけど、
創業当時とほぼ変わらない味だとしたら、
とてもシンプルなはずです・・
価格もそれほどじゃなく、
50枚入りで2000円ほど、、
専用の缶に入れられたものは、
お土産用としても重宝されています。
ところで、、
なにが『幻のお菓子』なのかというと、
手焼き煎餅なのに、
『焼かない』んです・・
こう書くと、
ちょっと分かりにくいんですけど、
どれだけ注文が入ったとしても、
絶対に、
1日に決まった数量しか焼かないんです・・
古くからのファンの方や、
中には親子3代や4代のファンもいます。
そういった方は、
いつでも食べられるようにと、
まとめ買いされるそうです。
また、さっきも言った、
『お土産用として』
いっぺんに大量の注文が入ったとしても、
やはり決まった数量しか焼きません。
というより、
コツコツやってるんで、
『焼けない』んでしょうね・・
なので、常に『品切れ状態』なんです。
意図してやってる訳じゃないんですけど、
この入手困難さが、結果として、
『幻のお菓子』とも、
呼ばれるようになった理由です。
これは完全な『売り手市場』の商品だといえます。
そして、自動車の市場では、
これと似たような手法を使って、
常に世界中からファンの注目を集めているのが、
イタリアの超高級スポーツカー、
『フェラーリ』なんです・・
フェラーリの話はまた次回に・・
関谷はやと
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