気にしないのも大切です
From:関谷はやと
三栄自動車の事務所にて。
『彼の演説は小6の文法レベル・・』
こう評されたのは、
1月20日に第45代アメリカ大統領として就任する、
ドナルド・トランプ氏です。
ところで、
評したのは誰なのかというと、
『カーネーギーメロン大』で、
英語研究をされている教授だそうです・・
『鴨ネギ』に『メロンの大』じゃないですよ!
カーネギーメロン大学といえば、
アップル・コンピューターの創業者、
スティーブ・ジョブズ氏が入学した学校として、
有名な大学です。
ちなみに、スティーブ・ジョブズは、
この学校を1年余りで中退して、
その後は自分の興味がある講義だけを
『シラッと』受けていたことを、
ずっと後になって告白しています・・
で、、トランプ氏の話題に戻ります。
トランプ氏の演説は、
良くいえば『分かりやすい』のだそうですが、
あえていうなら、
表現方法がストレートすぎるのと、
単調(シンプル)な言葉の繰り返しが多いことから、
『小6レベルの文法』と評されたようです・・
ちなみに、
対抗していたヒラリー・クリントンさんについては、
『7年生(中1)レベル』とのこと・・
結局、どちもどっちということですね・・(笑)
でも笑ってはいけません・・
演説のように『分かりやすさ』という点で、
幅広い世代の人々に向けて自分の考えを伝えるには、
これで十分なレベルだと思います。
というのも、
セールスの場合になると、
商品を買おうとしている相手が、
その商品について、
どれほど知っているか分からないような、
初対面の人に対しては、
『小5(10歳)レベルの分かりやすさ』で、
相手に伝えるようにと教え込まれますので・・
また、こういった原則というのは、
どうやら世界共通のようです。
実は日本においても、
稀代の名総裁といわれた『田中角栄氏』に、
同じようなエピソードがありました。
日本経済新聞の最終面(当時)に、
『私の履歴書』という連載があります。
各界の有名人に自分の生い立ちや、
失敗・成功を語ってもらうコーナーで、
とても人気があります。
そこに登場したのが、
子供の頃、吃音を矯正するために、
都都逸(どどいつ)を習得して、
『しゃべり』を鍛えた田中角栄です。
なので演説は名人級です・・
当然『私の履歴書』も、
笑いと涙を織り交ぜた出来栄えとなっていて、
当時、大変な話題となったそうです・・
そして、
この連載を読んだ作家の『小林秀雄』という人が、
『大変よく書かれた文章だ!』と評したそうです。
ちなみ(今回は多いです・・)に、
小林秀雄という作家は翻訳も手がけていて、
有名なものでは、
19世紀後半に現れ、放浪の旅の末、
わずか37歳でその生涯を閉じ、
フランスの天才詩人と呼ばれた、
『アルチュール・ランボー』という人の翻訳があります。
日本でのタイトルは『地獄の季節』という、
ドキッとするようなタイトルですが、
この詩集を発表したのが、
ランボーが19歳のときです。
文学界では、そのくらい有名な人が、
田中角栄の文章を褒めたもんですから、、
秘書など周囲の人たちも喜んで、
角栄氏本人のところへ報告に行ったそうです・・
すると角栄氏は、あの口調で、
「そうか!本物が褒めてたのか!」
「俺の文章も中々なもんだろう!」
と得意になっていた・・と、
角栄氏の秘書の手記にそう書いてありました。
しかし角栄氏は、そのあと秘書に向かって、
『ところで、小林秀雄って誰だ?』
と真顔で尋ねたそうです・・(笑)
それと同じくして、
影響力のある小林秀雄氏の評価が独り歩きして、
『田中角栄は文章も天才的だ!』と、
世間が言い始めました。
当然そのことは小林秀雄の耳にも入ります。
すると小林秀雄は、
『(中学生の)読書感想文レベルでみれば』
という前置きで、
『大変よく書かれている、と言っただけだ・・』
と世間の騒ぎにクギを刺したそうです。
まあ、どっちもどっちですね〜(笑)
ただ、
そんなことなど全く気にしないのが、
田中角栄氏です。
というより、、
たとえ気になったとしても、
あえて、
気にしていない素振りをしていたんだと思います。
これは僕の勝手な想像ですが、
小林秀雄氏の発言を気にする、ということは、
自分のために、
せっかく報告を上げてきてくれた秘書を、
無言で責めているのと同じ意味になります。
これこそが、
田中角栄氏の気配りの真骨頂です・・
今朝の新聞や、
インターネットニュースを見ていると、
『小6レベル』の発言を受けて、
トランプ氏やヒラリーさんのことについて、
あれこれ書かれていますが、、
『分かりやすい表現』に注目していれば、
別に気にする事じゃないと思いますが、、
あなたにはどう感じましたか?
関谷はやと
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