プロモーション 

From:関谷はやと

コカ・コーラを飲みながら。

秋といえば運動会シーズンですね。

その運動会で、
世界中から不思議がられているのが、

日本のような先進国が、
なぜグランドだけは土なのか?

鋭い指摘です・・

そういえば、
欧米のグランドには芝生が敷かれていますし、
仮に土のグランドがあったとしても、
野球用くらいでしょう。

以前、お隣の中国へ行ったとき、
移動中に小学校や中学校、専門学校など、
色んな学校を目にしましたが、

そのどれも、
グランドには陸上競技用のクッション材を敷き詰めた、
立派な運動場でしたね・・

さて、、
日本のグランドが何でそうなってるのか、

僕には分かりません・・

ところで、

そのグランドですが、
僕が子供の頃、近所に大きなグランドがあって、

といっても地域や企業のものじゃなく、

個人が所有していたグランドでした。

そこは、
町内の運動会や、夏休みのラジオ体操、
子供たちの草野球などで、

自由に使わせてもらっていて、

いま考えると、
ずいぶん太っ腹な持ち主さんだったな〜、
って思います。

当時、僕はいつものように、
そこで近所の子供たち数人で遊んでいたとき、

その中の誰かが、
『今日の○○時、ここにチャンピオンが来るらしいよ』

という話を始めました。

チャンピオンって、何の!?

このメルマガを読んでいるあなただって、

そんなこと、
いきなり聞かされても戸惑うでしょう・・

でも、
当時はそれで通用するほど、
あるモノが流行していたんです!

それが『ヨーヨー』です。

夜店とかで売っている
風船式の『水ヨーヨー』じゃなくて、

和菓子の最中を真っ二つに割って、
その中心にタコ糸を巻きつけたような玩具です。

そのヨーヨーを
誰もが知っている飲料水メーカー、

『コカ・コーラ』が、

販促品として配っていたところ、

僕たちの間で大流行して、

『ヨーヨーブーム』が巻き起こりました。

しかし、なぜヨーヨーが、
これほどのブームになったんでしょうか?

それには、、

『自分をかっこよく見せるための秘訣』

が隠されていたからです。

指に糸を結びつけて、
ヨーヨーを上下させるだけなら、

ちょっと練習すれば、
誰でもできるようになります。

それを、
コカ・コーラはテレビCMで、

『犬の散歩』

『ブランコ』

『東京タワー』などと呼ばれる、
多彩なテクニックを紹介することで、

カッコよさをアピールし、
ヨーヨーに興味を持ってもらい、

そのヨーヨーを手に入れたかったら、
コカ・コーラ社のドリンクを飲んでね、

というプロモーションと呼ばれる方法で、

『高度なヨーヨーのテクニック』が、

『カッコいいこと』として認知され、

それを『コカ・コーラ』と関連付けることが、

受け入れられたからです。

でも、子供たちにとって、
そんな複雑な事情など分かるはずもなく、

それよりもヨーヨーのCMを見て、
いかにテクニックを身に付けるか、
そっちの方が重要です。

僕たちは、
『本当にあんな技ができるのか!?』

などと半信半疑になりながらも、
日々練習をしていました。

そんな中、

テレビでしか見たことがない技を披露するため、

街のど真ん中じゃなく、
わずか数人しかいないグランドに、

しかも憧れの、
『チャンピオン』が来るんですから、

ヨーヨーにシビレた子供たちが、
色めき立つのも無理がありませんよね。

予定時間を少し過ぎた頃、

コカ・コーラの真っ赤なマークに塗装された、
1台の車がグランドにやって来ました。

中から出てきたのが、

なんと本物のアメリカ人です!!

コカ・コーラのユニフォームを身にまとった、

そのアメリカ人のチャンピオンは、

さっそくヨーヨーを手にして、
ウォーミングアップ開始です。

それが終わると、
いよいよ華麗なるテクニックの披露です!

「トーキョータワー」

「ツナワタリー」

「ブランコー」

「ソシテー、イヌノサンポネー」

『おおーっ!』僕たちは大興奮です。

しかもチャンピオンは、
たどたどしい日本語で解説してくれました。

僕が日本語を話すアメリカ人に会ったのは、
たぶんこの時が生まれて初めてです。

時間にして、わずか5分くらいでしたが、、

チャンピオンは、それが終わると、
コカ・コーラの社員が運転する車に乗って、
行ってしまいました・・

興奮冷めやらぬ中、
再びみんなでヨーヨーの練習に励んだのは、
言うまでもありません(笑)

実は縁あって、
三栄自動車とコカ・コーラ社は、
車のメンテナンスで取引関係があります。

あるとき僕は、

その当時の話を、
コカ・コーラの社員の方に聞いてみました。

その真実は、あの当時、
『チャンピオンと呼ばれる人は沢山いた』
ということです(笑)

そりゃあそうですよね〜

そもそも、
『チャンピオン』というでけで、
『どこの』とか『いつの』とか、

真実の情報は全くなかったんですから、、

ちょっとヨーヨーのできるアメリカ人を、
『チャンピオン』に仕立てて、

子供たちの注目を集めるくらい訳ないことです・・

本当に『チャンピオン』なら、

わざわざ松山にまでやって来て、
僕たちの前でヨーヨーをするわけないですよ・・

それでもあの当時、

日本中の子供たちに、
新しい遊びをもたらしてくれたんですから、

別にどうこう言うつもりもありません・・

それよりも、
子供たちの心をつかんだ、

コカ・コーラの
『プロモーション』を体験したことで、

今の僕のビジネスに役立っていることが、

ヨーヨーの思い出と同じくらい、
大切な財産となっています。

関谷はやと

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