限定生産
From：関谷はやと
三栄自動車の事務所にて。
お待たせいたしました。
三栄自動車は、
本日８月１７日から通常通りの営業となております。
お盆休みは、どのように過ごされましたか？
お盆休みといえば、
自動車を製造しているメーカーは、
信じられない程長期間休みます。
というのも、
自動車製造関係で働いている人たちって、
トヨタを例に取ると、一メーカーだけで、
十万人以上もの従業員がいます。
当然、地元だけで人材が揃う訳じゃないんで、
全国から人材を集めています。
つまり地方出身者の集まりなんですね。
そういった人々に帰省してもらおうとすると、
交通の便が良い地域の人ばかりじゃなく、
往復で丸２〜３日もかかる地域なら、
下手をすると海外に行った方が短時間、
なんて地域の出身者も多くいるそうです。
なので、
夏休みも１〜２週間近く設定されているんですね。
それ以外に、
自動車を生産している設備は、
１日２４時間ほぼ休みなしに稼働しています。
それをこの時期に、
メンテナンスするという目的もあります。
そしてもう一つ、、
車のデザインや大きく仕様が変わる、
『モデルチェンジ』の時期って、
たいてい秋口とか年明け、梅雨入り前と、
長期休暇の後というのがほとんどです。
その理由は、
モデルチェンジのために、
生産設備を大規模に入れ替える必要があっても、
大規模すぎて１〜２日じゃ到底できません・・
ですので、
夏休のような長期休暇を利用して、
モデルチェンジの準備をするんですね。
このように、
一年を通じて販売されている車って、
それを造る設備もメンテナンスすることで、
安定した台数を供給することが可能なんです。
これとは反対に、
メーカーの規模の大小を問わず、
『○○台限定生産』といって、
少量の台数しか生産しない場合もあります。
これは戦略的に、車に希少性を持たせるとか、
最近では少なくなりましたが、、
量産車を使って行われる自動車レースの、
生産台数規定を満たすために、
わざわざ数百台程度を生産したりします。
今回、アメリカの『フォード』が、
５００台という限定生産で、
ル・マン２４時間レースにも出場したことがある、
『フォードＧＴ』
という車にちなんだモデルを発表しました。
２０１７年発売予定のこの限定車、
１台が４８００万円という価格にもかかわらず、
６５００人もの購入希望者が殺到したため、
買えなかった人たちに向けて、フォードは、
『追加生産をするかもしれません・・』
という嬉しい誤算です。
これは前者の、
『希少性を持たせる』にあたりますね。
でも・・フォードＧＴの場合、
たまたま４８００万円という価格設定だったんで、
５００台しか造らなくても、
採算が出るのかも知れませんが、
いずれにしても、こういった場合って、
普通に販売されている車だと、、
必要な設備投資額と販売価格とを比べたら、
採算が出そうにないですよね・・
しかし！
それに採算性を持たせるのが、
自動車メーカーのすごいところです。
どうやってするのかというと、
『空き時間』を利用するんです！
といっても、休み時間に造るんじゃないですよ。
通常のモデルを造っているとき、
例えば流れ作業などの中では、
必ず作業と次の作業の間に『待機時間』が発生します。
待機時間といっても、
数十秒からせいぜい数分です。
その時間をかき集めて作業時間を確保するんですね。
まさに『ちりも積もれば・・』の世界です。
大量生産といえば、
これも元々は『フォード』の創業者である、
ヘンリー・フォード氏が始めた生産方式でしたが、
それを限りなく洗練させ、
現在のような生産体制を可能にしたのは、
ほかならぬ日本メーカーだったんですね。
言い換えれば、
日本発の大量生産のおかげで、
フォードＧＴのように４８００万円も出さなくても、
限定生産の車に乗れるようになったんですね。
関谷はやと
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