シリンダー
From:関谷はやと
三栄自動車の事務所にて。
日常生活のいたる所に、
『シリンダー』という装置が使われています。
例えば、
家の玄関についている開きドアが、
『バタン』と急に閉まらないように、
蝶つがいの上の方には、
油圧シリンダーがついています。
電車の扉にも、
プシューという音がする、
『エア・シリンダー』が使われています。
さらに、
病院で注射を打つ際の『注射器』も、
シリンダーの一種といえます。
今朝、
自動車業界向けの日刊紙を読んでいると、
下段広告に、
とあるシリンダーメーカーから、
『エレシリンダー』という名の、
製品広告が載っていました。
ちなみに広告の対象は、
僕たちみたいな、
車のメンテナンスをやってる企業じゃなく、
車や関連する部品製造業者といった、
完全な『生産現場向け』です。
あなたも知ってるとおり、
日本国内で販売される車のほとんどは、
1台1台手作りで完成されるものじゃなく、
『オートメーション』
と呼ばれる自動生産ラインで造られています。
そこには、
同じ作業を何千回、何万回やっても、
間違いなく繰り返せるようにするため、
(さらに文句も言わずです)
ロボットやベルトコンベアなどの、
生産機器が据え付けられています。
それらを動かすときにも、
大量の『シリンダー』が使われているので、
さきほどのシリンダーメーカーは、
製造業者の目に留まるように、
広告を載せているんですね。
ところで、
『エレシリンダー』の『エレ』というのは、
エレキのエレ、
つまり電気で動くシリンダーなので、
『エレシリンダー』と名付けているようです。
余談ですが、
ウルトラマンの強敵だった『エレキング』も、
雷のような電気を発生する武器を備えた怪獣でした。
なので『エレキ(電気)』と『キング(王様)』を、
掛け合わせて『エレキング』と命名されたんですね〜
シンプルすぎます!(笑)
戻ります・・
で、そのエレシリンダーがどうしたん!?
と思っているあなたに説明しますと・・
それまでは、
ロボットなどに使われていた『シリンダー』は、
家の玄関や電車の扉と同じ、
『油圧シリンダー』や『エアシリンダー』でした。
というのも、
油圧やエア(圧縮空気)のシリンダーは、
構造がシンプルで、
強力な作動力を兼ね備えていたからです。
僕が30年以上前に勤めていた自動車製造メーカーでも、
油圧やエアシリンダーが主流でしたよ。
休日出勤の時なんかは、
『エアコンプレッサー稼働予約』
みたいな書類があって、
設備を管理している部署に届けていました・・
ただ以前からも、
電気で作動するシリンダーは存在していましたが、
シリンダーを動かすための、
モーターの性能が追い付かず、
コストの割に非力なことから、
あくまでも電気シリンダーは、
軽量なものを動かすためにしか使えませんでした。
ところが、
小さくて消費電力も少ない、
強力なモーターが開発されたおかげで、
車の製造現場でも使えるようになったんです。
このおかげで、
シリンダーを動かすために必要としていた設備、
油圧を発生させるための『電動ポンプ』や、
圧縮空気を発生させるための『電動コンプレッサー』が、
完全にではありませんが不要となり、
工場に送電される『電力』で、
直接シリンダーが動かせるようになりました。
こういった進化は、
ユーザーの目に触れることはありません・・
しかし!
電気シリンダーというのは、
生産コスト改善の塊のような自動車にとって、
製造現場に
エネルギー革命を起こしたといえるほど、
大きな影響をもたらしたんですね〜
『エアコンプレッサー稼働予約』も、
いまじゃあ語り草になってるんでしょうね(笑)
関谷はやと
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