車の生産ライン、さらに細かく話します 

From:関谷はやと


前回のメルマガでは、
車の生産ラインって一体どうなってるのか?
という話題について大まかな流れとして、

まず『プレス工程』で、
ロール状に巻かれた鉄板から、
ボディーを構成する各部位ごとに型取った
『パネル』を作り、そのパネルが
『ボディー工程』で接合されて
一体化したボディーとなり、

出来上がったボディーは『塗装工程』で
ボディーカラーに塗装された後、
『組み立て工程』に送られ、
エンジンやタイヤなどが装着されて、
ようやく1台の車として完成する、、
といったお話をしました。

ちなみに、今から35年ほど前、
僕がトヨタで生産技術のエンジニアとして、
工場の生産ラインを担当していた頃に
携わっていたのが、今お話しした中にある
『ボディー工程』だったんですよ。

ところで、このボディーという呼び方、
トヨタ社内では『ボデー』と発音していて、
実際には『ボデー工程、ボデーライン』
という具合に、今考えてみると、
人間の身体とイメージが重ならないよう、
あえてそう呼んでいたのかも・・
なんて思っています。

ボデー工程では、
各パネルを接合して一体化するため、
部位ごとに最適な接合方法として、
『溶接』と『接着』という方法があり、

さらに溶接には『電気溶接』のほか、
『ガス溶接』と『スポット溶接』の
3種類に分かれています。

それぞれ説明すると、
まず電気溶接は、
離れた電極間に電気を流すと
スパークする(火花が出る様子)性質を使って、
鉄板でできたパネル同士を溶かしたり、
溶剤を用いて接合する方法です。

ガス溶接は、
ガスバーナーを使って高温であぶったパネルに、
溶剤を溶かし込んで接合します。

最後にスポット溶接ですが、、
これはさっきお話しした
電気溶接やガス溶接とは少し異なっていて、

重ねた数枚の紙を親指と人差し指で
つまみ上げるような格好と似ていて、

重ね合わせたパネルの一番表面と一番裏面とを、
『溶接ガン』と呼ばれる装置で挟み込み、
その状態のところに大電気を流すことで、
挟まれた部分だけが溶けて接合します。

そのため、
パネル同士を挟みこむ時の圧力や、
挟んだパネルに大電気を流す時の
通電時間といった具合に、

電気溶接やガス溶接にはない、
複数の条件を最適化することで、
初めて接合が可能となる溶接方法です。

またスポット溶接には、
複数枚重ねたパネルを同時に接合できるとか、
パネルには溶接ガンで挟んだ部分だけ、
つまり局所的にしか電気が流れないため、
熱の影響を最小限に抑えられるといった、
他の溶接方法には無いメリットがあります。

ただその分、溶接をミスった時には、
後でとんでもない労力の
『やり直し』が必要になるんですね〜
(それについては次回以降に)

関谷はやと

 
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