ネジを１０００倍の価格で売る方法　

From：関谷はやと

ちょうど１年くらい前のこと、
あるオンラインセミナーの中で
ビジネス・アイデアの好事例として、
アメリカで展開している
『ネジの卸業者さん』が紹介されていました。

まあ、
ネジの卸業者というくらいなので、
この会社が扱っている商品は、
ズバリ『ネジ』だけなんですけど・・

ただ『ネジ』って、
材質やサイズに違いがある程度で、
小さなサイズのネジだとか、
大量に使われるネジだと単価も安く、

しかも製品の様々な箇所に
使われ過ぎているからなのか・・
製品に携わっている人も
『あって当たり前』みたいな認識で、
ネジ自体に、
特別何かがある訳じゃありません。

ところが、あなたも知っている通り、
『ネジ』という部品は木工や鉄工、
機械の組み立てなど、あらゆる製品にとって
絶対に欠かすことのできない重要な部品です。

なので逆にいうと、
いくら優れた製品であっても、
ネジが１本でも不足していれば、
製品を完成させることができないんですね。

そこで、この卸業者が思いついたのは、
製品を作っているメーカーに
ネジを納入している会社から、
余ったネジをタダみたいな値段で買い取り、
アメリカ中で使われているネジを集めて、
自社の倉庫に次々と保管することでした・・

その数、実に１００万種類以上！（驚）

しかし・・
マーケティングの好事例といっても、
膨大の量のネジが保管できる倉庫を
準備する以外に、ここまでで
何も難しいことはやってませんよね。

ところが！
最初にお話ししたようにネジって、
その重要性とは反対に、
『あって当たり前』という認識から、

見込み違いとか、ついうっかり、
みたいな理由で、時々ですが、
『あれっ！？ネジが足りないぞ！』
というケースが発生するんですよ。

しかし、、
ネジが足りないからといって、
ネジを作っている会社がすぐに作れるか？
というと、ほとんどのネジの会社は、

採算性の面から一気に大量に作る、
いわゆる『ロット生産』という体制で
ネジを作っているため、

１０個とか１００個といった、
ごく少数の受注単位には対応できないため、
次にネジが作られる順番が来るまで
待つしか方法がありません。

ここで、ようやく
ネジの卸業者の出番となるんですが・・
元々、製品を作るときに使われていた
ネジばかりを買い揃えているので、
ほぼ１００％の需要に応えられます。

そこで仮に製品メーカーが、
ネジの会社から仕入れていた価格を
ネジ１個あたり５円だったとすると、

この卸業者はネジ１個に対して、
１００倍とか１０００倍の価格を付けて、
製品メーカーに販売するんですね。

それでも製品メーカーにしてみれば、
ネジが揃うまでに２週間かかるよりは、
１０００倍高くても、
足りないネジを今すぐ揃えて、
製品を作る方が損失を抑えられます。

ネジ本来の持つ重要性、
つまり、ネジの価値を最も理解して、
自社のビジネスに活かしたのが、
このネジの卸業者だったという事例です。

関谷はやと

 
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