ベンチャー企業だから派手に、は間違いです!
From:関谷はやと
三栄自動車の事務所にて。
京大発のベンチャー企業、
『GLM社』による試作車で、
電気自動車(EV)のスポーツカーが発表されました。
この『G4』と名付けられた、
EVスポーツカーを試作した『GLM社』は、、
もともと京都で
『トミー・カイラ』と呼ばれる、
超ニッチなスポーツカーを作っていた、
『トミタ夢工場』という会社が、
様々な経緯を経て清算(倒産です・・)された後、
2010年に継承された会社です。
ちなみに『G4』の性能はというと、
540馬力で最高速度250km、
0→時速100kmまでに要する時間が、
何とたったの3.7秒!(これは速いです)
一充電当たりの航続距離が400km・・
そして、気になる車の値段はというと・・
なんとも強気の『4000万円』です!
この金額を聞いて、
僕もビックリしたんで、
もう言一度言いますが、4000万円です・・
EVスポーツカーといえば、
アメリカの『テスラ社』が有名ですが、
それよりも高額です・・
さらに『GLM社』によると、
2019年に量産化をして、
1000台の販売目標を立てています。
また『和製テスラ』などと呼ばれ、
先ほどのテスラ社と比較されることも多いのですが、
この会社いわく、
目標にしているのはテスラじゃなく、
『EV版フェラーリ』が目標なんだとか。
しかも、
日本国内で販売するばかりじゃなく、
ヨーロッパや中東、香港や中国に向けても
販売する計画なんだそうです。
ちなみに、
ベンチャー企業として創業の経緯は、
今から20年前の1997年に開かれた、
地球温暖化防止サミットでの、
『京都議定書』採択を受けて、
産学連携という名のもと、
京都大学の研究者と産業界とが、
一緒になって立ち上げたベンチャー企業なんです。
つまり、
環境問題に対する『使命感』が、
企業の理由です。
これは立派だと思います。
そうやって出来上がった車の性能も、
価格も立派(4000万円)です。
また販売目標が1000台なので、
目標通りに行けば400億円!にもなります・・
そんなことから、
ニュースやベンチャー業界でも、
華々しく取り上げられ、
もてはやすような記事ばかりで、
絶対に成功するみたいに書かれています。
しかし、です・・
誰も言わないんで、
あえて僕がここでハッキリ言いましょう。
この車は1000台どころか、
たぶん100台も売れません・・
まあ、夢を持って、
大きなことを言うのは、
いくら言ったって構わないんですけど・・
ただ車のビジネスで一番大切な、
『その車に誰が乗るのか?』といった、
市場と向き合うという部分が、
完全に抜けている気がします。
残念ながら、
これでは『独りよがりのビジネス』です・・
なのに、
ベンチャーの一端を担っている
京都大学といえば、国立大学です。
知っていると思いますが、
国立大学の運営資金には、
僕たちの納めた税金も使われています。
私立に使われる大学と比べても、
その金額は、はるかに優遇されています。
言い換えれば僕たちは、
このベンチャー企業の
間接的なスポンサー(投資家)なんです。
ということは、
一企業がやるような製品を開発し作って売る、
などという、
リスクの大きなビジネスは、
やっちゃいけないんです!
ベンチャービジネスをやるにしても、
ある程度『確実に』
収益が見込める事業にするべきです。
あるいは遠い将来も含めて、
世の中に必要とされる基礎研究とかです。
『高級EVスポーツカー市場』って、
世界中に注目される、
派手で華やかなビジネスに見えますが、
それだけに、
性能だけで売れるもんじゃない、
最も難しい市場なんです・・
また見た目の派手さ以上に、
世界中の、どの自動車メーカーも、
『もしかしたら明日、会社が潰れるかも知れない』
といった、
企業生命を賭けた経験をしています・・
あのトヨタやホンダでさえ、
創業期には、
そういう時代をくぐり抜けてきたからこそ、
現在に至っています。
じゃあ、
テスラのようなベンチャー企業はどうなのか?
そう思うかも知れませんが、
テスラの場合は、税金ではなく、
ほとんどが企業や個人からの投資です。
なので、
もし事業がうまく行かなければ、
当然投資家から厳しく追及されますし、
事業家は、
受けた投資への責任も負うことになります・・
京大発ベンチャーに、
今までに一体いくらの資金が投入されたのか、
調べれば分かるかも知れませんが、
ベンチャーの方から、
僕たちに知らされることはありません・・
ただ、記事の最後の方に、
この企業の担当者のコメントがあって、
EVを作りたいメーカーが、
ボディーのない『ベース車両』として採用すれば、
そこで非常にコストパフォーマンスに優れた、
『高性能高級EV』が作れるでしょう。
そう言ってました・・
『自動車メーカーに向けて供給する』
これがせめてもの救いでした。
大きく売って、元を取ろうなどと考えずに、
初めから『その線』でやるべきなんです!
関谷はやと
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