リー 

From:関谷はやと

当時、
自動車業界だけにとどまらず、
世界中のあらゆる業種から、
その経営再建手腕が注目を浴びていた、
伝説の経営者『リー・アイアコッカ氏』が、
つい先日94歳でこの世を去りました・・

ここでアイアコッカ氏について、
少し紹介します。

1960年代のアメリカ
いわゆる『アメ車』が全盛期だった時代に、
爆発的なヒットを飛ばした
フォードの2ドアスポーツカー
『ムスタング(現マスタング)』の
開発を指揮したことを皮切りに

その後1970年には46歳の若さで
フォードの社長となりました。

また1978年には、
当時倒産寸前だった『クライスラー』の
社長に就任したんですが、当時
それまでアメ車の常識といわれてた

『フルサイズ』
『FR(後輪駆動)』を覆して

コンパクトなシャーシ(車台)に
(あくまで従来のアメ車と比べてです笑)
FF(前輪駆動)を組み合わせることで、

小さなボディーでも、
ゆったりとした室内空間が確保できる
通称『Kカー』を開発したところ、
これまた大ヒットしたんですね〜

また、後で知った話ですが、
今では当たり前となっているオプション、
『ドリンクホルダー』を
世界で初めて車に装着したのが、
当時のクライスラーだそうです。

それだけにとどまらず、

こういった困難な状況下でありながらも、
矢継ぎ早に新型モデルを発売して、
販売シェアと収益性を上げるには、、
一体どうすればいいのか?

そう考えたアイアコッカ氏は、

先ほど登場した
『Kカー』のシャーシ部分を共用し、
ボディーだけを変えることで、
安く、しかも短期間で全く違う車となり、、

それを、さも新型モデルのように
発売したんですね〜(驚)

中には、
4ドアセダンだった『Kカー』の
後部ドア2枚を無くし、
さらに屋根を取っ払い
『オープンカー』として
発売されたモデルもあります‥(笑)

これだと元々
シャーシ(車台)が共通なうえ、
ボディーの上物だけを作ればOKなので、
当然安く作れますよね。

こうしてクライスラーは、
『Kカー』のシャーシを、これでもか!
というくらい使い回したことが奏功して、
見事に経営再建を果たすことができました。

ちなみに、
これは『モジュール化』といって、
今ではどの自動車メーカーでも
採用されている方法なんですが、

ところが当時は、
この手法が受け入れられず、

後からこれを知ったユーザーから、
『詐欺行為だ!』と非難され、
販売シェアを落とすきっかけに・・

また1980年代後半に入ると、
日本車の台頭と重なるように、
そのダメージがクライスラーをはじめ
アメリカの自動車産業全体にも
広がっていきました・・

その結果アイアコッカ氏は、
アメリカの先頭に立ち、国を挙げて
日本車バッシングをするんですけど・・

(それと同調するように、
アメリカの労働者が大きなハンマーで
日本車を叩き壊している映像が
ニュースなどで連日流されてました・・)

当時、何も知らなかった僕は、
もしかしたらアイアコッカ氏って
日本のことが嫌いなのかも・・
なんて印象を持ってました。

まあ今となって考えてみれば、
アイアコッカ氏が採った
『モジュール化』を
さらに洗練させて作られた日本車が、

世界中で売れていくのを
目の当たりにしたことで、、

それに対抗する手立てがない自分たち、

つまり、
アメリカの自動車産業自身に対する
『くやしさ』と、

日本の自動車メーカーに対する
『畏敬の念』があったからこそ・・
じゃないかと思います。

リー・アイアコッカ氏は、
優れたアイデアと大胆即決を
実行することで成功し、
世界中から称賛を浴びた経営者です。

そういう人物なので、
当時の日本企業の努力を、
実は心の底では評価してたはずです。

関谷はやと

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