中古車ビジネス　

From：関谷はやと

『２００台に増やすより、
２０台に減らす方が難しい』

こう話してくれたのは、
僕が三栄自動車で
中古車の販売を任されてから
しばらく経ったある日のこと、

ビジネスの大先輩でもある
同業者の社長さんから、
中古車の展示規模や
運営方法についての
教えを受けたときの話です。

まあ今では、
インターネットの検索システムが
普及したおかげで、
ＷＥＢ上に限られますが、
やろうと思えば、
いきなり『数百台の展示規模』の
中古車販売店を始めることも
可能になりました。

ところが、、
そんなシステムがなかった時代に、
ゼロから中古車の販売店を始めるには、
まず１台の車を仕入れて展示し、
お客様に買ってもらう所からスタートする・・

というプロセスをたどるのが、
一般的な中古車販売店の
創業スタイルだったんですよ。

そうやって少しずつ
販売台数を伸ばしていく訳なんですが、
ただ、ある時点がくると、
中古車を売るのよりも仕入れる方が
大変になってくるんですね〜

というのも、
その頃にはお店の展示台数が、
それなりにまとまった台数となってて、
売れ具合に合わせながら、
展示台数を維持していくんですが、

しかし、、
中古車って新車と違い最大の特徴は、
『一物一価（いちぶついっか）』
と呼ばれるように、
全く同じ中古車というのは、
この世に存在しないんですよね。

なので、
ただ適当に仕入れりゃいい訳じゃなく
自分のお店に来てくれるお客様に
ふさわしい中古車を探して、
しかもそれをタイミングよく
仕入れなくちゃいけないんです・・

この点は、今でいう
ユーズド品を専門に扱ってる
セレクトショップに近い感覚ですね。

しかし、、
展示できるスペースが限られてる上、
いい中古車が見つかったからといって、
仕入れてばかりじゃ、
資金にも限りがあるので、
いずれ立ち行かなくなるのは、
想像に難くありません・・

ところが、
この世には『銀行』という、
ありがたい存在があって、
そういったときに
資金を融通してくれるんですね〜

すると、
今まで２０台しか展示してなかったお店でも、
例えば、仕入れ台数も増えたし、
近くに２００台展示できる敷地もあるし、、
みたいな条件が揃えば、融資を受けることで、
一気に１０倍の規模にできてしまいます。

こういうときって、まあ大体、
中古車がよく売れてて意欲も出るし、
じゃあ収益も一気に１０倍や！なんて、
気持ちも大きくなってるもんなんです。

こうして拡大路線に走れるのも、
それほど難しい環境じゃないのが、
中古車業界の特徴といえば特徴です・・

しかし、、
１０倍の規模にしたのはいいけど、
その分経費だって１０倍になりますし、
おまけに
『売れない時期』のことを考えたら、
それ以上の経費が掛かってますよね。

ところが、、
一度２００台規模にまで
拡大してしまったビジネスを再び、
元の２０台規模に戻そうとしても今度は、
銀行から融通してもらった資金の返済に
窮することになるんです・・

とはいっても、

拡大一辺倒がダメで、
小規模でやっていくのがいい、
という訳じゃなくて、

中古車ビジネスを成功させるためには、
自社でできる範囲を見定めながら
運営していくのが一番大切で、
自分の欲望に向き合う謙虚さと
計画性（ビジョン）がなければ、
ビジネスを長続きさせることができません。

なので、
展示台数の大小だけを基準に
周囲から大胆だとか臆病だとか、
そのお店のビジネスを評価するのは、
的を得ていないと思います。

勢いで向かいがちな僕にとって、
当時のこの教えのおかげで、
今に至ってると思えば、
本当にありがたいアドバイスだったと（苦笑）

関谷はやと

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