あれほどＥＶだと言っていたのに・・　

From：関谷はやと

２０３０年代以降の目標として、
エンジン車からＥＶやＰＨＶといった
電動車へと切り替えようとしていた
ヨーロッパ各国の自動車政策ですが、

今年初めにロシアとウクライナとの間で
紛争が激化したのをきっかけに、
実現が危ぶまれている印象となりました。

というのも今回、ヨーロッパの中で多くの国が
ウクライナを支持する側に回った一環として、
ロシアへの経済制裁を始めたんですね。

具体的には、
それまでロシアに進出していた企業が
ロシアから引き揚げてきたり、
貿易や金融決済の手段として使っていた
ロシアの通貨『ルーブル』を使えなくしたりと、
紛争終結の糸口をつくるために
ロシアを経済的な窮地に追いやる作戦でした。

ところが、いざ経済制裁を始めてみると、
ロシアとの経済流通を断ったことで、
石油や天然ガスといったエネルギーや
小麦を始めとする農産品の輸入量が減少し、
それにより物価が高騰したことで結果的に、
経済制裁した側が困っているという現状です。

そうなってくると人って、
今日、明日の生活の事しか考えられなくなり、
最初にお話しした、
エンジン車から電動車へと転換させていく、
といった手間と時間と費用の掛かることへの
優先順位が下がってしまうんですよね・・

そのためか最近は、あれほど言っていた
『２０３０年代以降はエンジン車の販売を禁止する』
といった急進的な話もあまり聞かなくなりました。

一方日本ではこれまでトヨタが主導する形で、
ＣＯ２排出量を削減するのは重要だけど、
世界ではそれぞれの地域によって
エネルギー事情が異なるので、
ＥＶだけに限らずエンジンやその他の方法、
電気以外の燃料にも取り組んでいく・・
という方針を示していたんですね。

ただ、今年に入るまでは多くの人が
トヨタが示すような方針では
世界との競争に取り残されてしまう・・
という見方をしていました。

ところが今となっては、
急進的とも思える目標を掲げた
ヨーロッパの方が行き詰まりを見せていて、
それぞれの国の事情に合った取り組みをする方が、
結果として継続性、実現性がある、
という見方に変わろうとしています・・

この世の中、
いつどんなことが起こるか分からないので、
現状だけで判断して政策目標を立ててしまうと、
いかに後で無理が来るかが、
よく分かる事例じゃないかと思います。

関谷はやと

 
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