V8 5000ccのエンジン
トヨタの高級車ブランド『レクサス』の
最も小型サイズのセダン『ISシリーズ』に、
元々は大型セダンの『LSシリーズ』に
載っているのと同じサイズのエンジンを搭載した
(V型8気筒、排気量5000cc)
『IS500』というモデルが発表されました。
ちなみに、エンジンの排気量というのは、
車のサイズや重量に見合った設定にするのが
一般的なやり方で、通常のモデルだと
一番大きな排気量でも3500ccのエンジン
(IS500の約3分の2)なんですね。
これって、
大きなサイズのエンジンが狭いエンジンルームに
目一杯詰め込まれた格好となり、
例えるなら子供向けの自転車に
大人が乗っているようなイメージです・・
小さな子供たちに混じって、
1人だけ大人が乗った自転車で競争したら、
圧倒的に優位な状況で勝ちますよね・・
話を車に戻すと・・
この『圧倒的に優位な状況』が『余裕』となり、
その余裕がユーザーの虚栄心を満たすことで、
車をステータスだととらえているユーザーから
支持される訳です・・
ボディサイズの小さなモデルに
大きなエンジンを搭載する理由には、
こうした販売戦略的な要素もあるんですよ。
実際に、
この手法を使って経営危機から脱したのが、
ドイツの高級スポーツカーメーカー
『ポルシェ』でした(驚)
1990年前後のこと、
当時アメリカ市場が主力だったポルシェにとって、
アメリカ国内景気の落ち込みによる影響と、、
さらに、
元からの高コスト体質が仇(あだ)となり、
ポルシェは経営危機に陥ってしまいました・・
そこでポルシェは、
新たな社長を迎え入れることにしたんですが、
その社長が取り組んだのは、
1)トヨタ生産方式を取り入れた生産改善
2)主力モデルより低価格な
新型スポーツカーの導入
3)ベンツからの救済
この中で(3)のベンツからの救済が、
まさに今回のレクサスと同じ手法で、
ベンツは、
自社のミドルサイズセダン『Eクラス』に、
V8,5000ccのエンジンを搭載した
ハイパフォーマンス・セダンとなる
『500E』の販売を企画し、
その開発と架装(生産の一部)を
経営不振だったポルシェに依頼したんですね。
経営不振とはいえ、
ポルシェのブランドは健在で、
当時『ポルシェが開発したベンツ』と言われ、
日本でもかなり話題になりました。
またエンジンが大き過ぎたために、
フロントタイヤを収めるスペースが占領され、
その結果、タイヤを覆う部分の
『フェンダー』と呼ばれるパネルが
異様に張り出してしまったのも、
逆にハイパフォーマンス・カーを
イメージさせるのに役立ちました・・
ポルシェにとっては、
ベンツからの依頼で救済される形となり、
このベンツ500Eというモデルは、
『ポルシェを救ったモデル』とも呼ばれています。
良い悪いにかかわらず、こうした、
語り継がれるストーリーというのは、
特に高級ブランドにとっては大切な要素で、
セールスにも大きな影響を及ぼします。
今回発表されたレクサスIS500には、
さて、どんなストーリーがあるでしょうか・・
興味がわいてきます。
関谷はやと
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