ビジネスにおける撤退　

From：関谷はやと

以前このメルマガで、
ロシアと国境を接するウクライナとの間で
紛争が起こったのをきっかけに、
アメリカとＥＵを中心とする、
いわゆる『西側諸国』がロシアに対して、
これまでの取り引きを中止したり、
ロシアで展開していた事業から撤退する、
といった経済制裁についてお話ししました。

その中でニュースになっていたのが、
ロシアの航空会社が西側諸国の企業から
リースした航空機で営業運航してたんですけど、
今回の経済制裁の一環として
ロシアから撤退するにあたり、
航空機のメンテナンス部品や
サービスの供給を停止する発表をしたんですね。

ところが、、
その話を受けたロシア側は対抗措置として、
『だったらロシアにある航空機は返さないよ』
という態度に出たため、
このまま経済制裁を続けると、結果的に
航空機を差し押さえられた格好になる・・
といった内容でした。

その後しばらくは戦況の報道が優先されて、
この手の話題はあまり聞かなかったんですが、

ここ数日の間で、
ハンバーガーチェーンのマクドナルドや
車関連だとフランスのルノーが、
ロシアから撤退するといったニュースが
次々と出始めました。

そういえば今から３０年ほど前、
当時ロシアがまだソ連だった時代に、
アメリカ発祥のマクドナルドがソ連に進出した！
みたいなニュースを見た記憶があります。

マクドナルドについては、
撤退に要する費用が１８００億円！？
もかかるそうなので・・
それをカバーする方法として、
今後『Ｍ』のトレードマークを使わない約束で、
ロシア企業に店舗ごと売却し、スタッフも全員、
引き続きマクドナルドで仕事ができるそうです。

またルノーも、
ロシアの国営企業に生産工場ごと売却する、
という形で撤退するそうですが、
ただルノーにとってロシアは、
世界で２番目に大きな市場らしく、
いくら経済制裁の一環だとはいっても、
それを手放すのは、とても手痛いですよね。

そこで取った方策が、
今後６年間はいつでもルノーが、
売却先から株式を買い戻すことが出来る、
という条件付きで売却し、
ここでもスタッフ全員の雇用は守られるそうです。

撤退するとはいえ、
マクドナルドにしてもルノーにしても、
今の時点では、それなりに収益を挙げているので、
最初にお話しした航空機のリース会社みたいに、
全てを差し押さえられちゃ元も子もないと・・

こうした局面でいかに立ち回ることができるか？
良い悪いは別にして、ビジネスには、
『したたかさ』が必要な場面があると思います。

関谷はやと

 
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