それ、気になりますか?
From:関谷はやと
プライベートデスクにて。
先日新聞を読んでいると、、
中学生の討論(ディベート)テーマとして、
『ヌードル・ハラスメント』について、、
肯定的な立場と批判的な立場の役と、
それぞれに分かれて意見を出し合ったものが、
記事として掲載されていました。
このタイトルを見て、
『オッ!?』っと反応したあなた・・
『それはグラビア・アイドルか何かの話題か!』
そう早とちりしてしまいましたか・・?
・・違います〜!
よ〜く読んでください!
そっちじゃなくて、
麺(めん)の『ヌードル』です・・(笑)
ところで、
現代社会においては、
自分の考えを持ち、主張しながらも、
相手の考えを聞き、理解しようとするためには、
まず相手と話をすることが必要です。
もちろん、中学生くらいの年齢にもなれば、
精神的な成長に必要な過程として、
討論(ディベート)などを利用して、
自分とは違う考えに触れる機会を作る・・
そのための手段としてはとても有効だと思います。
なので、
存分にやってくれていいと思うんですが、、
しかし、、『ヌードル・ハラスメント』
このテーマ自体、
『ディベート』にふさわしいんでしょうか?
ちょっと『?』な感じがしました。
というのも、
ラーメン屋さんや、
うどん・そば屋さんで麺を食べている時に出る、
『麺をすする、あの音』それ自体が、
周囲に不快感を与える、
『ハラスメントである・・』
そういった前提のものとでのディベートです。
ちなみに肯定側の意見は、
『麺をすする音が立つのは仕方がないので、
気にしなくて良いのでは?』という意見でした。
そして批判側の意見は、
『麺をすする音を不快に思う人もいるので、
食べる時には気を遣うべきだ』という意見です・・
どっちがどうだとも言いませんが、、
でも、、
『麺』を食べる時には音って出ますよね。
落語のネタでもよく登場する、
お蕎麦屋さんのシーンを表現するときにだって、
『ズズっ〜』という音で表現していますし、
あの音のボリュームやスピード感だけで、
人物像を表現しているというのに・・
『ヌードル・ハラスメント』
言葉としては、
確かにうまい表現だと思いますが、、
いったい誰がこんなことを言い出したんでしょうか?
ラーメン屋で麺をすする音まで言い出すって・・
そんなの気にしてたら、キリがないと思いませんか?
などと考えていたら、
1つ思い当たることがありました・・
それは、洋の東西による『食文化の違い』です・・
ところで、
僕たちが麺を食べるときって、
パスタ、スパゲティでは『フォーク』を使い、
それ以外は大抵、
『箸(はし)』を使って食べますよね。
まあカップめんの時には、
フォーク派と箸派に分かれるかも知れませんが、
それは、、もしかしたら、
日清カップヌードルのCMの影響でしょうか・・
元々箸を使わない国の人たちが、
美味しそうに『カップヌードル』を食べているシーン、
見たことがある人もいると思います。
あのときのCMでは『フォーク』が使われていました。
パスタのように、
麺をクルッとフォークに巻き付けて、
それを口に運んでいるシーンです・・
こうすると確かに『ズズっ』という音は出ません。
それに関連したエピソードを一つ。
僕が二十歳そこそこの時ですが、
当時通っていたアルバイト先に、
スペイン人の男性がいました。
ちなみに名前を、
『パブロ・カルロス』といいます・・
『パブロ』という名前は、
あの超有名な画家『ピカソ』の、
ファーストネームって言うんですか・・?
『パブロ・ピカソ』
それと同じだと彼が自慢していました。
ただピカソとは親戚でも何でもないそうです・・
ま、カップめんとは全く関係ない情報ですが・・(笑)
ある時、アルバイト先での休憩時間、
カルロスと一緒に、
『カップヌードル』を食べたことがありました。
カルロスは箸を上手に使っていましたが、
麺を口に運ぶときに、
『ズズっ』と『麺をすする』んじゃなくて、
箸で集めた麺を、一気に口に放り込んで、
『かぶりつく』ような感じで食べていました・・
僕はそんな食べ方を初めて見たので、
『そうやって食べたら熱いやろ!?』と言って、
カルロスに向かって、
『カップめんは、こう食べるんやっ!』と、
麺を『ズズっ』とすするところを見せました。
カルロスは、
僕の『ズズっ』と食べる姿に興味を持ったらしく、
また、そんなことを言われたのも初めてのようで、
『ティーチ ミー(教えて下さい)』と言いながら、
『コウデスカ?』みたいに、
一生懸命に麺をすすろうとしていました。
しかし、
カルロスの母国スペインには、
そもそも『麺をすする』という仕草以前に、
そういった食べ物がないらしく、、
フォーク文化の人々にとっては、
実はとても難しい食べ方なんだそうです・・
カルロスも頑張ってチャレンジしますが、
麺がのどに詰まって、むせているだけでした・・
何度かチャレンジして、
カップの中の麺が無くなる頃に、
何とかようやく、、
『ズズっ』と麺をすすれるようになりました。
もちろん、あの当時の日本には、
『ハイタッチ』の習慣なんてありません・・
『ドヤ顔のカルロス』と目が合った僕は、
お互いに親指を立てて、
『グッジョブ』の仕草で理解しました・・
こんな具合に、
洋の東西で違う『食文化』にまでたどり着ければ、
『ヌードル・ハラスメント』も、
分からなくもありません・・
今回の新聞の紙面を見るかぎり、
ただ『周囲への気遣い』までで、
せっかくのディベートを結論付けてしまったことに、
大人たちが中学生に向けて、
『周りの空気を読む方法』みたいなことを、
強いているような、
そんな印象を受けました・・
『もっと深く討論させてあげたらいいのにな〜』と・・
ちょっと残念で、もったいない感じがしました。
関谷はやと
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